ジェームズ・ウェッブ望遠鏡ミラー、「缶」
2012年9月20日
 JWST(ジェームズ・ウェッブ望遠鏡)の質量は6.2 tとして計画されており,HST(ハッブル望遠鏡)の約11 tの約半分である。ただし,ベリリウム(露出したベリリウムは近赤外線をあまり反映しないので,鏡はそれぞれ約0.12オンスの金で覆われている。)を主体とした反射鏡の主鏡の口径は約6.5mに達する。これは口径2.4 mとHSTの2.5倍で、面積は5倍以上にもなる。この点から,HSTをしのぐ非常に高い観測性能が期待されている。逆に鏡の重量は軽量化されている。
 主鏡の直径は,現在存在するいずれの打ち上げロケットよりも巨大である。ただし,主鏡は一枚鏡ではなく18枚の六角形のセグメントに分割されている。各鏡セグメントは約20kgであり,望遠鏡が打ち上げられた後に高感度のマイクロモーターと波面センサーによって正確な位置に導かれて展開する。
 宇宙船で行くために小缶(缶)に荷造りされた。打ち上げは2018年である。
 
ジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡(JWST)
 NASAが中心となって開発を行っている赤外線観測用宇宙望遠鏡。ハッブル宇宙望遠鏡の後継機として2018年以降の打ち上げを目指して開発が進められている。
 JWSTの主な任務は,ビッグバンの残り火である赤外線(宇宙背景放射)を調査し,今日観測可能な宇宙の初期の状態について観測することである。この目的を達成するために,JWSTは高感度赤外線センサー,分光器などを搭載する。
 JWSTの運用は、ESAとNASAが共同で行う計画である。打ち上げ後JWSTは,太陽 - 地球のラグランジュ点に置かれることになっている。JWSTは,HSTのように地球の周回軌道を飛行するのではなく,地球からみて太陽とは反対側150万kmの位置の空間に漂わせるように飛行する。
 観測のためには,機体を極低温に冷却し,太陽や地球の光なども避ける必要がある。そのため、JWSTは折畳まれた遮光板を搭載し,遮光板によってJWSTの機体に到達する邪魔な光が遮蔽される。ラグランジュ点においては,地球と太陽が望遠鏡の視界の中で常に同じ相対的位置を占めるため,頻繁に位置修正しなくとも遮光板を確実に機能させることができる。
 HSTは地表から約600kmという比較的低い軌道上を飛行している。このため,光学機器にトラブルが発生してもスペースシャトルで現地へ行って修理することが可能である。これに対し、JWSTは地球から150万kmもの遠距離に置かれるため,万が一トラブルが発生してもHSTのように修理人員を派遣することは大変困難であり,事実上は不可能とみられている。